- 作者: 枡野浩一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/04/20
- メディア: 文庫
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しかし、中身の濃さは想像以上で大満足だった。
これまで自分が漠然と抱いていたのと全く異なる「本当の」石川啄木像が次々と露わになっていく。
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この本は全26回に渡って、歌人・枡野浩一が石川啄木の短歌を、今の言葉の短歌に訳したうえで、関連エピソードを紹介するという体裁。
枡野浩一の文章には、エピソードに合わせて、「石川くん」への手紙が挟まれるが、ほぼ90%以上が苦言・あてこすり。(それは当然「愛情の裏返し」ではあるのだが。)
ゆえに取り上げられる短歌も、「石川くん」の性格がよく現れたものが選ばれる。
一度でも我に頭を下げさせし
人みな死ねと
いのりてしこと
(枡野訳:一度でも俺に頭を下げさせた/やつら全員/死にますように)
どんよりと
くもれる空を見てゐしに
人を殺したくなりにけるかな
(枡野訳:どんよりと/曇った空を見ていたら/人を殺してみたくなったり)
巻末の「石川くん年譜」も読みやすいし面白い。
金銭関係のトラブルに端を発する「絶交」「絶縁」などが人一倍多いだけでなく、自分の披露宴をボイコットしていることもわかり、変人ぶりがうかがえる。
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しかし、そんな石川も26歳という若さで亡くなってしまう。
また、合わせるようにして、石川くんの家族も続々と亡くなる。
かくして、悪口ばかりのこの本も、何となくしめっぽく終わるのだが、短い人生の中で天才・石川啄木がどう生きたか、興味のかきたてられる良書だった。
本文中にも、いろいろな参考資料についての言及があり、これらの中からピックアップして他の本にも当たってみたい。さしあたってはこれか・・・。
『坊っちゃん』の時代(第3部) 【啄木日録】 かの蒼空に ―凛烈たり近代なお生彩あり明治人 アクションコミックス
- 作者: 関川夏央,谷口ジロー
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 1992/01/01
- メディア: コミック
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⇒実際に読んでみて衝撃を受けました!:石川啄木が嫌いになれるエピソードベスト4〜関川夏央・谷口ジロー『かの蒼空に』(2011年12月)