Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

ピアノやるべ〜鮎川久雄『40歳からのピアノ入門』

週末に仙台駅東口ヨドバシカメラに行くと、ポメラの見本(白)が置いてあったので、触ってみた。画面も見やすいし、キーボードも十分広い。バックスペースによる文字削除が遅いような気がしたが、難点はそのくらいだろうか。月曜日の時点で、「黒残り1台」という状況だったので、欲しい方はお早目に。自分は、オレンジを見てみたかったのだが、これはなくて残念。
さて、以前のエントリでは「文房具で人生が変わる」と主張していたが、最近、家族内で「楽器で(子どもの)人生が変わる」派(奥さん)が急成長し、計画も具体化し始めたので、財政上の問題からポメラの購入は一時見送りとなりそうだ。
俎上に上がっているのは電子ピアノ。当初、電子ピアノとエレクトーン、キーボードの違いもわからなかったが、カカクコムの、こだわり派の方の意見等を読んで勉強し、イメージは掴むことができた。

「コード奏法」という魔法

さらに、どうせ買ってしまうなら、自分も触らなくては損とばかり借りてきたのがこの本。
タイトル通り40代からピアノを始め、バンド、結婚式での伴奏に限らず、見ず知らずの人前での演奏(レストランやバー)など、素人からは信じられないところまで行った人のサクセスストーリー。
ポイントとなるのは、サブタイトルにもある「コード奏法」。
さて、その「コード奏法」とは何か。この本の元となった作者のweb上の連載から引用すると以下の通り。(本ではP24あたり)

コードとは、いわゆる和音のこと。例えば、ド・ミ・ソという音を同時にジャーンと鳴らすと、きれいに響き(ハモり)ます。シ・レ・ソという組み合わせもきれいに響きますが、ド・ミ・ソとはちょっと違う感じがします。ラ・ド・ミになると何か物悲しい響きになります。こんな風に音の組み合わせによって、どんな感じにハモるかが決まっています。この音の組み合わせをコードと言って、それぞれの組み合わせ方に名前が付いています。C(シー)、G(ジー)、 Am(エーマイナー)とかいうのがそれで、最近の楽譜(クラシック以外)には、大体、音符の上にこんなアルファベットの記号がズラーッと付いているはずです。この曲のこの部分は、このコードの音の組み合わせで出来ていますよ、という意味です。
 そこでこのコードの記号(コードネームと言います)を見ただけで、組み合わせる音(構成音)を鍵盤上でパッと反射的に押さえられるように訓練しておくと、楽譜がなくても、コードネームの羅列だけで、立派に演奏ができるようになります。更に、コードは曲の進行に添ってどんな風に変化してくか(コード進行と言います)がほぼ決まっているような(いないような)ところがあるので、演奏しながらその先のコード進行が想像できるようになると、何も見なくても自分のイメージで演奏できるようになります。つまり、即興演奏です。

ピアノといえば、小中学校時代のオルガン伴奏、ピアニカ演奏等、完全にメロディを弾くものと思いこんでいたし、一方の「コード」は、高校大学時代以降、ギターという楽器とセットで知ったこともあり、自分の中では両者はあまり結びつく機会が無かった。しかし、言われてみれば確かに、メロディよりもコード演奏の方がそれっぽく聴こえるのかもしれない。まっさきに思い出したのは、この動画。これも、結局は、「ピアノはメロディ」という固定観念があるからこその驚きであって、ギターだったら、これほどの驚きはない。

おわりに

この本は、web連載をまとめたものということもあり、これからピアノを弾く人に向けて書いているのか、既に練習を始めている人に書いているのかよく分からない部分もあり、全体的にはバランスが悪い。しかし、たった3ヶ月という短さでライヴバーにデビューしたという作者の実体験からくる説得力と、その成功が、裏道にも見える「コード奏法」という変わったアプローチによって為されたという部分からくるワンポイントで、読んだ人(特に楽器演奏経験のない人)にかなりの確率で「ピアノやるべ*1」と思わせる素晴らしい本だと思う。
また、個人的には、好きな曲のコードの勉強ができたら楽しいだろう、と言う意味でも、コード奏法というアプローチには惹かれるものがある。実際、物を買って、練習しなければ何にもならないが、買う前くらいは人前でピアノを弾いている妄想に浸らせてください。

ところで

ピアノ購入についての、作者の意見は「グランドピアノを買え」という、笑ってしまうもの。ただし、ついていけない人のために電子ピアノを薦めており、選ぶ際のポイントを3つ挙げている。(P45)

  • 88鍵フルスケールのものを選ぶ
  • 音はサンプリング音源のものを選ぶ
  • 鍵盤のタッチは現物を弾き比べて感触を確かめる

で、冒頭のヨドバシカメラ仙台店に行った際に、実際に触れてみた。カカクコムの口コミによれば、ローランドなど高い機種は断然タッチが違うなどなどが書いてあったことを思い出したが・・・
全く分かりませんでした。もう負けてますか?