Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

ガラスの仮面における丹下段平とは〜美内すずえ『ガラスの仮面』2

ガラスの仮面 (第2巻) (白泉社文庫)

ガラスの仮面 (第2巻) (白泉社文庫)

北島マヤがジョーだとすれば、姫川亜弓力石徹。そして丹下段平に当たるのは月影千草
月影先生の丹下的な壊れっぷりが全開の巻です。
見どころは、「夜も眠らずに雪の中で演劇の稽古だと!?無茶な!肺炎にでもなったらどうするんです!」と主治医に叱責された、マヤの役づくり(たけくらべの美登利)を手伝うシーン。
少し笑みを浮かべながら、うわごとのように言うセリフには、読む側が「白い眼」。

わたしでなければだめ・・・
もうすこし・・・もうすこしなのよ・・・
もうすこしで美登利がうまれる・・・
あたらしい美登利が・・・

ちょっと、SFじみているというか、マッド・サイエンティストっぽいですよね。
(一方で、重態のベスを演じるために雨に打たれて40度の熱で初日舞台を迎える弟子も弟子ですが・・・)


さて劇団つきかげの第一回公演「若草物語」は、それほど評判にならず、むしろ速水真澄の策略により、劇団存続の危機に立たされます。つきかげ存続のためには演劇コンクールで地区予選を勝ち抜き、全国大会で入賞することが必要。コンクールの参加演目は「たけくらべ」ですが、姫川亜弓、桜小路優が所属する劇団オンディーヌが、わざと同じ演目を選択するなど、つきかげへの逆風は凄まじいものがあります。
ここら辺は、のちに黒沼龍三が「忘れられた荒野」で全日本演劇協会賞を取るしかなくなった展開と全く同じですが、燃える展開は、何度読んでも面白いです。
なお、速水真澄が紫のバラを初めて送ったのは、「若草物語」の初日でした。