Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

ゾロリ病からの脱却のために親ができること

スゴ本で「マンガを読めない子どもたち」という記事がありましたが、現在一年生のよう太が初めて読んだ漫画は、おそらくドラえもんのび太の恐竜)です。自分としては本の方を読んでほしいので、読ませる漫画の量はセーブしてますが、特に「読めない」ということも無く親しんでいます。今回の話題は、そんな漫画好きな小学生低学年がハマる罠についてです。


よう太は、漫画も好きですが、本を読むのも好きで、怒られてばかりの幼稚園時代もそれだけは誇れると思っていました。しかし、年中〜小1あたりの長い間「ゾロリ病」にかかってしまい、親としては、そこからどう抜け出すか悩んでいました。
ここで簡単に説明すると、原ゆたか*1作の『かいけつゾロリ』は先日50冊目が出て、数年前にはアニメでも人気を博した、超人気&長寿シリーズで、絵本ではなく単行本形式なので、絵本から抜け出すには非常にいい本だと思います。しかし、絵は「挿絵」でなくメインの扱いで、基本的に見開きが文字のみで埋まっている部分はなく、複数の絵がコマ割り的に配置されているところもある等、漫画と本の中間的な構成となっています。そのため、漫画やゾロリを読み慣れてしまうと、文字のみの本に移行しづらくなるのです。*2しかも、ゾロリだけで50冊あり、同タイプの本が増えているため、これらを読み回し続けていると1年くらいはすぐに過ぎ、なかなか次の階段を上ることができません。これが「ゾロリ病」です。


自分の子ども時代を思い返すと、このみひかるの『ぴょこたん』シリーズが、扱い的には近いかもしれませんが、非常に数が限られていたので、「ゾロリ病」は存在しませんでした。しかし、一学期の学校公開(授業参観)で図書の授業を覗き見たときの経験からすれば、小学生低学年では大半が絵本かゾロリを選んでしまうようで、ゾロリ病というのは根が深いのだと思った次第です。


さて、ゾロリ病から抜け出すために、名探偵コナン大好きのよう太が比較的入りやすいかと思い、用意したのは、自分が大好きだった少年探偵団シリーズ*3。しかし、やはりゾロリからだとレベル差が大きき過ぎて、取り合ってもらえませんでした。また、『怪談レストラン』シリーズ*4も読み始めていたのですが、短編集ではなく、あくまで長編ものを読んでほしいという思いもありました。

怪談レストラン(1)幽霊屋敷レストラン

怪談レストラン(1)幽霊屋敷レストラン


そこで目をつけたのが、探偵・推理ものの多い、児童向け文庫です。(これらは文庫と名付けられているが実際の判型は新書判なので要注意)
児童向け文庫は、ここ数年、おそらく朝の読書関係のニーズがあり、冊数が増えているようです。例えば、最近になって出来た目立ったレーベルだけでも以下があります。

集英社みらい文庫(しゅうえいしゃみらいぶんこ)は、2011年3月に集英社から発刊された児童向け文庫本レーベル。創刊時には書き下ろし作品のほか海外文学の新訳、同社の週刊少年ジャンプやりぼんの漫画作品のノベライズなどが刊行された。『がばいばあちゃん』『ONE PIECE』『真夜中の図書館』等、以前刊行された作品の再刊行もなされている。

角川つばさ文庫(かどかわつばさぶんこ)は、角川書店をはじめとする角川グループの出版社が発行し、角川グループパブリッシングが発売する日本の児童書レーベルである。2009年3月3日創刊。(略)
2008年に角川文庫が創刊60周年となったのを期に、10代の読書体験を調査したところ小中学生に角川グループの様々なジャンルの文庫が読まれていることが判明した。
これをヒントに、文庫を読む前の小中学生に向けて読書の楽しさを体験してもらうために創刊を決めたのが角川つばさ文庫である。


あとは老舗の青い鳥文庫岩波少年文庫などがあります。これらのシリーズで自分が子どもの頃、印象に残っているはドリトル先生シリーズです。自分はそうではありませんでしたが、熱心なファンがいました。なお、そのドリトル先生も「角川つばさ文庫」からリニューアルされているとのこと…。
『ワンピース』や『君に届け』の小説版もこのシリーズで出ているのを見ると、おそらく漫画→本への移行に悩んでいる層が結構いるのかもしれません。

新訳 ドリトル先生航海記 (角川つばさ文庫)

新訳 ドリトル先生航海記 (角川つばさ文庫)


そこで、数ある児童向け文庫のとっかかりとして、よう太に夏頃に与えたのが、この『バニラのお菓子配達便!』シリーズの2冊です。

バニラのお菓子配達便! ?スイーツデリバリー? (角川つばさ文庫)

バニラのお菓子配達便! ?スイーツデリバリー? (角川つばさ文庫)


この本は今では珍しくなってしまったゲームブックゲームブックというジャンルについては強い思い入れがあるので、改めて書きたいと思いますが、この2冊を、よう太はかなりよく読みました。エンディングが複数種類あるのですが、全部のエンディングを確認して、しきりに読め読めと言われました。主人公が女の子である等、入り込みにくいかもしれないと思っていたのですが、やはりゲーム要素の魅力は他には代えがたい。
結局、この本がきっかけで、文字割合の多い本にも慣れ、児童用文庫シリーズにも親しみがわいた御蔭で、ゾロリ病からは脱却できたようです。
その後、暗号やパズル要素がかなり多いパスワードシリーズを薦めると、リアル脱出ゲームに夢中のよう太は、結構すんなり入り込み、今ではしっかりハマっています。児童向け文庫のラインナップは、ライトノベルっぽいのもありますが、大御所や名作も目白押しで、もはや、そこいらの大人以上の読書体験すら可能といえます。

パスワードは、ひ・み・つ―パソコン通信探偵団事件ノート〈1〉 (講談社 青い鳥文庫)

パスワードは、ひ・み・つ―パソコン通信探偵団事件ノート〈1〉 (講談社 青い鳥文庫)


自分が小学生だった30年前と比べると、子どもが読みやすい本は格段に増えています。ゾロリ病は、だからこそ生まれた病気とも言えます。よう太にいろいろと読ませて分かったのは、ある程度の時期が来れば、自然にゾロリ病を脱出できたのかも?ということ。ただ、親として脱出口の選択肢を、豊富な児童用文庫の中から一冊でも示すことができれば、その後の、通常の読書への移行がスムーズに行くのだと思います。ゾロリ病に困っている父兄の皆様は、是非参考にしてみてください。

*1:ちょうど、昨年の今頃、大宮で原ゆたか先生のサイン会があり、喜び勇んで出かけたのは良い思い出です。原先生は、よう太のダジャレにもつきあって頂き、非常に気さくな方でした。

*2:ゾロリと比較すると『いやいやえん』の方が断然文字が多く、それを理由に読むのを拒否された経験あり。

*3:図書館で借りてきた『大金塊』を見て、「おおがねだましい」って何?と聞かれてびっくりした覚えあり。

*4:ゾロリ病からの移行は、この本が果たすことが多いようでシリーズの冊数も多い。松谷みよ子監修。うちはアニメもよく見ていた。主人公がプリキュアキュアミューズと凄く似ている。