Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

宇宙キター!〜的川泰宣『宇宙ロケットのしくみ(子供の科学サイエンスブック)』

さすが!の『子供の科学サイエンスブック』。図書館では理科のコーナーによく見かけるこのシリーズは、カラー写真が多く、科学的な興味を引き立てられるだけでなく、一種のブランド感があり信頼できる分かりやすさ。
今回、イカロス本で、ロケットの話題が出たので読んでみたが、とてもわくわく出来る内容で大満足だった。
イカロスで出てきた2種類のロケットエンジン、固体ロケットと液体ロケットの違いは以下の通り。

  • 固体ロケット:比較的構造が簡単で失敗のリスクが少ない。また同規模の液体ロケットよりも大きな推力が得られる。ただし、液体ロケットのような制御が難しい。
  • 液体ロケット:燃料の燃焼を調整することで推力を調整することが可能。

さらにロケットの運動を妨げる地球重力や大気抵抗などを考えると、燃焼後に不要になったロケットの機体を切りはなしていく多段式ロケットが効率的な打ち上げに適している。これらの観点で世界の主力ロケットを見ると以下の通り。
はやぶさ」を打ち上げ、「あかつき」を当初載せる予定だったM-Vロケットは3段の固体ロケット、「あかつき」+「イカロス」を載せたH-?Aは2段式の液体ロケットになる。
世界で活躍するロケットは

  • タイタン4(アメリカ):2段式の液体ロケット。
  • ファルコン(アメリカ):2段式の液体ロケット。民間企業スペースX社の打ち上げている商業用ロケット。
  • ソユーズロケット(ロシア):2段の液体ロケット。運用開始から40年が経つ。
  • アリアン5(ヨーロッパ):2段の液体ロケット+左右に2基の固体ロケットブースター。ESAが開発。
  • 長征2F(中国):2段の液体ロケット+左右に2基の固体ロケットブースター。中国初の有人ロケット神舟5号の打ち上げに使用。

こう見ていくと、固体ロケットというのは日本のM-Vの独壇場で、その発展形がJAXAが開発中の固体ロケット「イプシロン」のようだ。
勿論、人工衛星おおすみ、みちびき、だいちなど)や惑星探査機(ボイジャー、かぐや、はやぶさ、あかつき、イカロスなど)についての説明もあり、宇宙開発を概観するのに、ちょうどいい分量の内容。
ロケット開発の歴史について書かれた部分では、それまで武器として使用されていたロケット技術を宇宙に行く目的でさらに進めた旧ソ連のツィルコフスキー(宇宙旅行の父)、アメリカのゴダード(近代ロケットの父)、ドイツのオーベルトがおり、特に1882年生まれのゴダードH・G・ウェルズの小説に影響を受けていることなどSF小説が与えた科学への影響についても知ることができた。
全くの余談だが、今さらながらスカイラブというのがアメリカが初めて開発した宇宙ステーションの名前であることを知る。キャプテン翼で立花兄弟が得意とした必殺技スカイラブハリケーンの名前が、NASAの宇宙ステーションから来ていたとは…。
宇宙関係は少しずつ知識が増えてきたので楽しくなってきた。これからももっと読んでみよう。