Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

イプシロンロケット打ち上げ前の予習に!〜あさりよしとお『まんがサイエンス(11)〜ぼくらの宇宙船』

まんがサイエンス 11 (ノーラコミックス)

まんがサイエンス 11 (ノーラコミックス)

イプシロンロケットの打ち上げ日が9月14日に決まりました。
今回、当初予定の8月22日から27日に延期後の打ち上げ中止を経て、三度目の正直ということになります。
日本のこれからの宇宙開発を担う重要な任務を持った新型ロケットということもあり、慎重に慎重を重ねて、今回のような日程延期となったのでしょう。


さて、宇宙に飛ぶ人工物というと、人工衛星など「運ばれる物」とロケットを混同してしまう人がいるかもしれません。例えば、話題になった小惑星探査機「はやぶさ」を宇宙に届けたのは、イプシロンの直系の先輩に当たるM-5ロケット ということになります。
同様に、今回イプシロンロケットが運ぶのは 惑星分光観測衛星SPRINT-Aで、つまりは宇宙望遠鏡。人工衛星の愛称は打ち上げ成功後に決められるのが通例となっているので、そういう意味では名前はまだありません。


さて、そういう自分も、ロケットの話題は最近になってわかるようになったばかりで勉強中。だからこそ人一倍わかりやすい本を求める気持ちは強いのです。そんな自分が自信を持ってオススメできるロケット入門本は『まんがサイエンス(2)〜ロケットの作り方おしえます』で、これは、漫画を読みながら、ロケットの仕組みとロケット開発の歴史を同時に学べるという傑作。
その続編ともいえるのが、前作(1992年)から16年後に出たこの『まんがサイエンス(11)〜ぼくらの宇宙船』です。


登場人物はノゾム、カケル、ミドリの小学生3人。今回は、宇宙船が壊れて地球に到着したヒト型宇宙人(宇宙船を作る材料、技術はいくらでもあるが、方法が分からない)を宇宙に送ってあげるというのがメインのストーリーです。
ノゾムがペットボトルロケットからの発想で、純粋にロケットで宇宙を目指すのに対して、カケルは、大砲をベースとした突飛な考え方で宇宙を目指します。
この二人の別々のアプローチは絶妙で、結局、二人とも目指すゴールは、一般的なロケットの形に結実します。ただ、ノゾム型ロケットは液体燃料ロケット、カケル型ロケットは固体燃料ロケットという違いがあります。イプシロンロケットは、最新型の固体燃料ロケット(H-2Aは液体燃料)なので、その意味でイプシロンロケットを理解するのに、非常にいいテキストになっていると思います。


また、唯一の女の子ミドリは思いついたアイデアのみを次々に披露する役回りで、飛行機や鉄道で宇宙に行くなどの没案を出したあと、最後に軌道エレベータの考えに辿り着くあたりも面白いです。


一番最後に、カケルは、小さなものでも実際にロケットを打ち上げる夢を語ります。ここら辺が、そして、この漫画全体が、作者が取り組んでいる(ホリエモンも絡んでいる)ロケット打ち上げの活動と繋がっているのだと思います。次はこの本↓を読もうと思います。