Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

鎧武VSガイバー〜高屋良樹『強殖装甲ガイバー』(1)〜(4)

現在放送中の仮面ライダー鎧武が面白い。
正直言って放送前は、あまりに奇抜なデザインに「平成ライダーも今回で引退か…」*1と思っていたが、とにかく続きが気になるストーリー展開で、(「いい大人が…」と家族に睨まれながらも)毎週末が楽しみで仕方ない。
新作映画「平成ライダーVS昭和ライダー」のCMで藤岡弘、が「平成ライダーだとぉ、甘ったれるな!」という、「だから平成生まれはダメなんだ」的な酷い暴言を吐いているが、自分が真に楽しんで見ているのはむしろ昭和ライダーよりも平成ライダー。そして、自分が求めていた平成ライダーの面白要素が序盤から惜しげもなく投入される展開が、鎧武の素晴らしいところだ。


今回、kindleの角川70%オフセールを機に10数年ぶりに読み返した『強殖装甲ガイバー』は、まさしく仮面ライダー的ツボ要素が満載。自分の考える仮面ライダー平成ライダー)の王道のストーリーが詰め込まれており、現在放送中の鎧武との類似点も多い。*2
その要素を基本的な設定から列挙すると…

  • 主人公は、敵組織の技術によって、変身能力を得る
  • 主人公以外にも、同様の能力を得る者(仲間)がいる
  • 敵組織は技術開発のために、日夜研究に励んでいる
  • その中には、人間を怪物に変える技術が存在する
  • また、戦闘員が多数存在し、街中でも気にせず主人公を襲う(これはリアリティに欠けるマイナス要素ですが…)
  • 主人公には、これを出せば勝ち!という必殺技がある
  • 敵組織に内部密通者がおり、主人公たちに情報をリークする
  • 敵味方を問わず、主人公とは別の「能力」を持つ(謎の)人物がいる(ガイバーでは村上、フォーゼならタチバナさん、鎧武ではあえて挙げればブラーボか。)
  • 敵のバリエーションとして主人公の偽物が登場する
  • 途中で、主人公が、敵を倒すことの暴力性に気が付き変身できなくなる


鎧武は、かなり進み方が早く、従来は中盤以降に配置されることが多い「正義の力」を奮うことへの悩みのシーンが第2話や第14話で出てきている。しかも、主人公自らが、怪物と化したライバルやチームメイトを殺めてしまったということで、見ている側もなかなか辛い展開だ。
ガイバー3巻も、同様に変身できなくなる展開があり、やはり両作品は似ていると言えるのかもしれない。いずれにしても、これまで自分が平成ライダーに求めていたものは、ほとんどがガイバーに入っている要素だったのかと目を覚まされた思いだ。
また、「五人衆」や「十二神将」という、いかにも少年漫画的な敵役の出し方も含めて、少なくとも4巻までのガイバーは、ひたすら王道を進む展開。
意外性に欠けるほど王道を辿るこの漫画が面白いのはテンポの良さもあるが、展開やヒーローのカッコよさに説得力を与えるのが絵の巧さ。白黒バランスやコマ割りも読みやすいが、メガスマッシャーなどの必殺技の威力を、台詞や擬音に頼らず、見開き描写で見せられるところが素晴らしい。
ということで、放送中の仮面ライダー鎧武と、10数年ぶりに読み返し始めた強殖装甲ガイバーは、どちらも今後の展開が楽しみな作品。デザイン的には断然ガイバーが勝っています*3が、物語の展開として、どこまでダークなところに踏み込めるか、ヒーロー物の魅力を発揮できるかに注目したいです。

*1:全部見ているわけではありません。アギト、クウガを見ていないし、電王も見ていません。電王は今回と同様デザインが嫌いで見なかった…。好きなのはファイズ

*2:なお、『鎧武』の脚本の虚淵玄がアダルトゲーム出身だったということは知っていたが、今回『ガイバー』の高屋良樹もエロ漫画出身であることを初めて知った。

*3:ただし、今のところ敵として登場しているメロンライダー「斬月」は、なかなかカッコいい。あと、かかってきた携帯電話に「私だ!」と出る変身前の人もカッコいい。