Yondaful Days!

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最高のシンプルタイトル〜田中芳樹『王子二人―アルスラーン戦記〈2〉』

辛くも死地を脱出したアルスラーン王子ら一行は、味方の兵力が集結する国境城塞へと向かう。追っ手をかわすため三組にわかれた彼らに、ルシタニア軍、そして銀仮面の男とその配下が襲いかかる。過酷な逃避行の先に待つ運命は?さらに、パルス王国の存立を揺るがしかねない王家の血の秘密が明かされようとする…。超絶スペクタクル・ロマン第二弾。(Amazonあらすじ)


このタイトルの秀逸さと言ったらないでしょう。


『王子二人』


アルスラーン戦記は、四字熟語タイトルで一貫しているのですが、『王都炎上』や、少しひねった『汗血公路』などと比べても、圧倒的に“四字熟語らしさ”に欠けた四文字。つまり、読みにくかったり、意味が取りにくかったり、漢字の書き取りが出来なかったり、そういうことの一切ないシンプルな4文字です。俳句的な、究極的に短くする言葉選びの上手さを感じます。(シンプル過ぎて、謎解き好きな人は、「三」「人」「日」だったら「春」になるし、「八」「王」「大」だったら「美」になるから、これも何かになるはず!とチャレンジを始めそうです笑)
勿論、アルスラーンと“銀仮面”ヒルメスの、まさに二人の王子にスポットライトがどんどん当たって行く物語の内容とも合っていて非常に納得のいくタイトルです。(勿論、この巻で少しだけ触れられ、次巻で登場する、シンドゥラ軍の二人の王子のことも意識しているのでしょう。)
これが「ふたりの王子」だったらここまでのインパクトは無かったでしょう。


物語の展開ですが、この巻から登場するキシュワードは結構印象に残っていました。鷹を操るという点と二刀流である点は、小説にもかかわらず、ビジュアル面でのインパクトが大きかったからだといえます。ただし、性格的な部分は、今のところはそれほど特徴は出ておらず、活躍はこれからなのかな。
なお、この巻から旅の仲間6人(アルスラーンダリューンナルサスエラムファランギースギーヴ)にアルフリードが加わり7人になります。メインキャラクターとしては、そろそろ人数が多くなってきたことを意識したのか、6人組が3つに分かれて、ナルサスのみがアルフリードと最初に出会うようになっている辺りは、物語の進め方の上手さを感じます。また、アルフリードは、ナルサスの(一方的な)結婚相手というキャラクターづけだけでなく、年少組としてエラムのライバルでもあり、ファランギースに次ぐ女性組ということで、頭に入りやすい。こういった工夫がなされているので、ビジュアル的にも頭に入りやすいのかと思います。


こんなニュースが!↓
まずはもう少し原作小説を読み進めてから荒川弘版に移行する予定です!

田中芳樹さんのファンタジー小説荒川弘さんがマンガ化した「アルスラーン戦記」がアニメ化されることが2日、分かった。公式ホームページで発表された。