- 作者: 藤子・F・不二雄
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/11/25
- メディア: コミック
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この巻で大好きなのは「エスパークリスマス」の回。クリスマス前にアルバイトをしていた魔美は、父子3人暮らしで、お父さんが定職に就けず、それどころではないのに、クリスマスを心待ちにしている兄妹を知る。これを見て魔美は、高畑さんとのクリスマスの約束を変更しようと提案する。
最終的に二人で兄妹のところに行ってクリスマスを祝うことになるのは、むしろドラえもん的なパターンだが、高畑さんが一度拒否するところが面白い。(理屈屋の高畑さんならでは)
魔美:小さなケーキでも買って……。あの子たちよろこぶと思うのよ。
高畑:ぼく そんなのいやだな。
その場かぎりの自己満足じゃないか。
やすっぽい同情はかえってその子たちのためにならないよ。
いつも他人のほどこしを期待する気持ちをもったらどうする?
これからもずうっとめんどうみてやれるなら別だけど。
魔美:そんな……。わかったわ……。
魔美は、このあとしょんぼりして家に帰る。そうして自分の軽い気持ちを反省した頃に、高畑さんが、祝いに行こうと誘いに来るわけだ。
このワンクッションがあるだけで、高畑さんや魔美が人として悩んでいる様子がよく分かり、話し全体が生き生きしてくる。
これ以外の話も、そうくるか!という細かい展開が多く、本当によく練られて作られている。ドラえもんに比べると、いわゆるリアリティライン(どこまでがお話上「あり」か)がリアル寄りに作られており、今読むとバランスが絶妙だ。魔美や高畑さんの手足が、長めである絵柄も影響しているのかもしれない。
大全集は、4巻まであるようなので、あと2冊も期待したい。
なお、巻末解説はアニメの魔美役の声優のよこざわけい子さん。エスパー魔美には「星空のダンシングドール」という映画版があったことを知る。DVDは出ていないみたいだけど機会があればこれも観たいなあ。