Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

日経新聞11/11(日)

海水面積最小の北極海 温暖海域広がる/東京海洋大「氷減少の原因か」(35面)

記事は東京海洋大らの研究チームによる研究成果についてのもの。島田浩二准教授によれば「床下暖房の上に氷が載っているような状態」ということで恐ろしい。
北極の気象観測については以下が詳しかった。

海洋からは海洋研究開発機構(JAMSTEC)の海洋地球研究船「みらい」が、宇宙からは宇宙航空研究開発機構(JAXA)の水循環変動観測衛星「しずく」が調査を進めているが、北極にはかつて存在しなかった分厚い対流性の雲が調査を困難にしているという。北極圏の気象変化は日本を含む中緯度地域にも影響を与えるという。

なおJAMSTECでは、2012年11月13日13時より、ヤクルトホール(東京都港区)にて「急激な北極域の変化と地球環境への影響」と題した講演会を開催する。

ともあるので、講演会内容について、また記事になるのだろう。それにしても今後が不安になるニュース。

温暖化ガス削減、46業界が目標 20年までに達成目指す(3面)

京都議定書の約束期間が2012年末で切れるのを受け、鉄鋼、化学など46業界は20年までに達成をめざす温暖化ガスの自主的な削減目標をつくる。温暖化ガスを大量に排出する産業界が、自主的な目標で「ポスト京都」の空白を埋める。

記事では20年までに達成する「自主的な」削減目標について伝えられるが、一方で京都議定書の拘束期間(08-12年)後の第二の拘束期間については、EUは参加するが日本は参加しない。「20年で90年比25%削減」という大風呂敷もどこかに行ってしまった。これもあり、20年に発行される新たな「新枠組み」の交渉では、日本は必然的に存在感が薄くなり、EUなどの後を追うかたちとなる。地球温暖化対策が必要なのは自明。しかし、その仕組みづくりには相当慎重に行かないと京都議定書と同様、不利な約束を負うことになる。
地球温暖化対策税は今年の10月から課税開始で2014年4月と2016年4月に税率引き上げ(!)と決まっているというが、国内外が納得できる温暖化対策を検討すべき。そして政治家は、それを説明すべき。

イタリア地震「安全宣言」で学者実刑/災害リスク説明不足(13面・日曜に考える)

イタリア中部ラクイラ市で2009年に起きた地震の「安全宣言」をめぐり地震学者らが訴えられた裁判で、イタリアの地裁は10月22日に禁錮6年の実刑判決を言い渡した。重い判決に日本でも波紋が広がる。事件の背景には、災害のリスクをどう伝えるべきかという難しい問題がある。

日本でいえば東海地震の予知に関して気象庁長官と判定会会長が実刑判決を受けることに相当するという。

今回記事を読んでわかったが、2009年のラクイラ地震にはこのような経緯がある。

  • ラクイラでは08年秋から群発地震に見舞われ市民の不安が高まっていた。
  • 民間科学者が地中から出るラドンガスの計測を根拠に「大地震が起きる」と公表。
  • イタリア政府の防災担当部署が事態沈静化のために、地震学者を集めて委員会を開催。
  • 閉会後に同局の担当者が記者会見して「安全宣言」。
  • その6日後にM6.3の地震が発生し300人以上が亡くなった。

ただし、ラクイラの委員会議事録からすると「地震は起きないと断言できない」というのが科学者の意見だったようで、安全宣言ありきの委員会だったようだ。

記事では「科学者の丁寧な説明・情報提供が必要だった」とする声や「科学者の説明が不十分との指摘は、行政の責任という問題の本質をすりかえる議論」という正反対の意見を載せながらも、

  • リスクを適切に伝えるのは難しいが、最もありそうなケースと最悪と最良のケースを伝える。
  • 今後は行政と科学者の責任分担をより明確にする必要がある
  • 予知に頼らない防災・減災が最も重要

と結論付ける。納得。

⇒関連:「科学技術」は何によって担保されるのか〜レイモンド・S・ブラッドレー『地球温暖化バッシング』

人工知能、東大合格に挑戦 感性磨き小説執筆も

コンピューターは東京大学の入学試験に合格し、小説を執筆できるのか。人間にとっても一筋縄ではいかない難題に、人工知能で立ち向かうプロジェクトが相次いでいる。技術開発の進歩が研究者らの野心をかきたてるが、巧みで複雑な人間の知能をもっと深く理解したいという畏敬の念も見え隠れする。

話題となっているのは2016年までに大学入試センター試験で高得点を獲得し、2021年に東大合格」を目指す国立情報学研究所のプロジェクト。このプロジェクトの発案者は新井紀子教授で、『コンピュータが仕事を奪う』でも、チューリングテストの話から始まり、一つのテーマとして人工知能を扱っており、全体的なストーリーとしては納得。ただし、冷泉彰彦さんがニューズウィークの記事で、このプロジェクトについて指摘するように、「2021年にもなって東大がこんな入試(理系も含めて「答えのある」高級パズル)を続けていたら、それこそ国際競争の中で沈没してしまうでしょう。そもそも、こうした「大学入試ペーパーテスト一発勝負」というのが、日本国外では意味がほとんどないのですから、国際的なプロジェクトの目標としても適切ではありません。」というのもまた事実。
ただし、理系問題に限れば、10年後の目標としてはちょうど良いのかもしれない。公立はこだて未来大学が挑戦するショートショートを執筆させて5年後にコンテストに応募するという方が夢のまた夢という感じもする。

⇒関連:円周率はなぜ3.…から始まるのか〜新井紀子『生き抜くための数学入門』

転居先読み上げ2回 逗子ストーカー殺人(35面)

これについては以下のリンク先を読んでいろいろと考えさせられた。

⇒「運用による配慮」を行えば違法捜査になる可能性もあるので、警察のせいにするのではなく「法整備が必要」という部分で怒るべきということか。

逗子ストーカー殺人事件、Yahoo!知恵袋に残された恐ろしい投稿履歴

⇒これは恐ろしい。前から気を付けていたけど、ツイッターでRT機能を使うときは慎重に。

読書

空の拳

空の拳

空の拳 挿画日記

空の拳 挿画日記

沢木耕太郎のボクシング小説(『敗れざる者たち』『一瞬の夏』)が好きだったので、ボクシング小説ということで興味がある。それだけでなく、角田光代が10年以上ジムに通い続けているということにも驚きで、極上のサラリーマン小説という褒め言葉にも惹かれ、かなり読みたい小説。『空の拳 挿画日記』との併読が薦められている。


小説神変理層夢経 猫未来託宣本 猫ダンジョン荒神

小説神変理層夢経 猫未来託宣本 猫ダンジョン荒神

安藤礼二さんの書評は難解でよく分からなかったが、タイトルのインパクトが強い。芥川賞作家だということは知っていたが、受賞作は「タイムスリップ・コンビナート」という作品なのか。いや、Amazonで一覧してみると、タイトルを知っている本自体ないかも。難しい小説なのかな。