Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

大塚英志『キャラクター小説の作り方』

キャラクター小説の作り方

キャラクター小説の作り方

自分は、よくできた書評を読むために、題材として取り上げられた本を読んでやろうか、と思うくらい、評論の類が大好きである。
そういう感性が完全に確立した、10年前のエヴァンゲリオンブームのときから、大塚英志の文章と付き合ってきたせいか、この人の文章は、非常にツボをつく。作品との向き合い方に共通する部分が多いのかもしれない。(勿論こちらが影響を受けたのだろうが)

この本のメインテーマである「キャラクター小説の作り方」というのは、いくつかあるテーマのうちのひとつで、実際には、「キャラクター小説と私小説の違い」が中心テーマで、『教養としての〜』で取り上げられた「アトムの命題」も大きく取り上げられる。さらに、これの延長として戦争をどう取り上げるか、という問題が提示される。
というように、「作り方」のみを求めた読者には不親切なつくりなのだが、「教養」を深めるためには、非常に役に立つ内容。
ただし、最終講では田山花袋『蒲団』論にかなりのページを割かれているなど、やり過ぎの感はある。
そうは言っても、この最終講も含めて、読み返したい箇所も多かった。文庫版は、さらに内容が追加されているようなので、購入したい。

(補足)テーブルトークRPGについて

なお、この本では、キャラクター小説を書く力をはぐくむ場として、テーブルトークRPGを推奨している。
この流れで、キャラクター小説を書くために必要な技術を以下の3つの役割分担に喩えて紹介している。

  • 「ゲームデザイナー」:世界を作る人(この技術に長けた人として清涼院流水を挙げている)
  • ゲームマスター」:物語を作り、管理する人(同じく、恩田陸を挙げている)
  • 「プレイヤー」:キャラクターとして実際に物語を演じる人

これはなかなか面白い。自分は、どれも苦手だなあ(笑)
自分は、テーブルトークRPGは、やったことも見たことはないが、リプレイ作品*1なら読むことはできるので、ちょっと見てみたい。

今後読みたい作品memo

*1:リプレイとは、実際に遊んだ経過をもとにリポートする方法。リプレイ作品として有名なのは『ロードス島戦記』読んだこと無いが・・・。